ぎりぎりの選択肢を探った結果、という印象だった。 神宮寺シリーズは、片方で1980年代のファミコンゲーム時代に 作られた、やや荒唐無稽な世界観に愛着を持つファン層と、片や 90年代末以降により進歩し、洗練された推理ゲームを期待する層 との二つに引き裂かれ続ける運命にある。 そしてワークジャム、という会社は、「クロス探偵物語」という 佳作を筆頭に、後者の旗振り役としての位置づけにある。なので リアリティ(例えば神宮寺の人間像、ヤクザ勢力図や警察権力の 実態)を盛り込まざるを得ない。それを正面から問うたのが前作 「Innocent Black」だったのだが、扱いきれない主題を盛り込んで しまったが故に賛否両論を巻き起こした。 その点を意識しつつ、今回は、マクロストーリーに繋がる「 蒼ざめた馬」の存在を、神宮寺が解決できるストーリーの外に放逐 し、「失われた楽譜」を探すシナリオに絞った。人間同士の関係を 重視するファミコン時代の神宮寺の限界線に回帰し、そこにこそ 「探偵」としての存在意義がある、という点に活路を見出そうと しているとも言えるだろう。 この接合が巧くいったという評価になるのか否かはさておいて、 ワークジャムなりの神宮寺の「こなし方」を模索している様子は 伺える。 ただ、安全策で地固めをした今回の試みを評価するとしても、 その上で次回作で「ディテクティブゲーム」としての面白さを もっと詰めなければ、旧固定ファン以外は離れていってしまわざる を得ないだろう。「謎解き」の面白さをゲームに取り込む工夫は 神宮寺のコンテクストの中でも可能なはずだから。 |